とても怪しい「抗うつ剤 効果差30%」という朝日新聞報道|精神科医&カウンセラーの倫理違反と被害救済を考える
この記事を執筆した岡崎明子記者によれば、これまで、抗うつ剤の「効き目」については、「薬の種類による差はない」と言われてきたそうです。
ところが、先頃、日本(名古屋市立大:古川壽亮教授)、イギリス(オックスフォード大学、ケンブリッジ大学)、イタリア(ベローナ大学)の医師12名による研究結果は、抗うつ剤の「効果」には「効く」ものと「効かない」ものの間に30%の「効果差」がある、という結論を出して発表したそうです。
彼らの研究とは、次のようなものだそうです。
12の「薬」を対象に、1991年から2007年に世界各国で行われた「効き目」に関する比較臨床試験のうち� ��「科学的信頼度の高い117試験を選んで解析」。そして、「8週間後の効き方」と「副作用のため薬をやめた率」を比べた。
ここで、つっこみをいれておきます。
1) 「信頼度の高い」という「試験」の「信頼度」については、12名の医師たちの選択基準がどこにあるか、ということが問題になるはずです。
しかし、岡崎記者は何も書いていません。
これが新聞記者というものでしょうか。そうなのかもしれません。
2)それから、「効き方」ということの定義は何でしょうか。「効く」「効かない」を判断したのは、論文を書いた医師たちであり、患者ではありません。患者は蚊帳の外です。
3)それを置いておいても、8週間という期間だけで「効き目」がわかるのでしょうか。9週間目に自殺しても、「それは薬とは関係ない」ということでしょうか。10週目に深刻な「副作用」が出ても、何も問題はない、ということなんでしょうか。そんなばかな。
にきびピットをどのようにカバーするために
4)「副作用のため薬をやめた率」というのは、8週間しか問題にならないのでしょうか。そもそも薬をやめるのは、健康になって薬が不要になるからやめるのが普通ではないでしょうか。なんで、薬をやめる原因を「副作用」だけに限定するのでしょうか。それは、薬を飲み続けていれば、薬をやめられず、「副作用」で苦しむだけ、ということではないでしょうか。
その他、いろいろつっこめますが、以下で、この記事で紹介されている研究の結論についてみていきましょう。
研究の結果は、次の通り:
1)「効き目」だけを見ると、ミルザピンが最も「高く」、レボキセチンに比べて患者に「効く」率が34%高かった。
� ��)日本で承認販売されている薬を比べると、セルトラリンはフルボキサミンに比べ、11%高かった。
では、「副作用」について、医師たちはどう考えたのでしょうか。その点について、不思議なことに、岡崎明子記者は何も書いていません。「副作用」のことを何も知らないからではないでしょうか?
岡崎記者は、ただ「その(副作用の)要素」を研究の結論に「加味」した、ということのみ書いているだけです。
そして、結果としては、「効き目」と「副作用」の「バランスがよく」、「患者にとって使いやすい薬の順番がわかった」として、次のような表を掲げています。この表のタイトルは「効果と副作用で見た抗うつ剤の「使いやすさ」の順位」(カッコ内は日本での販売状況、販売されている場合は商品名� �です。
子どものストレス、不安の症状
①エスシタロプラム(臨床試験中)
②セルトラリン(ジェイゾロフト)
③ミルタザピン(承認申請中)
④ベンラファキシン
シタロプラム
ブプロピオン(臨床試験中)
ミルナシプラン(トレドミン)
フルオキセチン
⑨デュロキセチン(承認申請中)
⑩パロキセチン(パキシル)
⑪フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)
⑫レボキセチン
さて、岡崎明子記者によれば、「厚生労働省調査では、うつ病や躁うつ病など気分障害により通院している人は90万人以上いる」ということです。彼女は、90万人がみんな朝日新聞のこの記事を読んでジェイゾロフトを飲めば良くなるとでも思っているのでしょうか。「患者にとって使いやすい」ということを本当に信じているんでしょうか、岡崎明子記者は?
以上のように、岡崎明子記者は、「副作用」のついては何も書かず、そもそも「薬」の「効果」がいったい何であるのか、ということについても、書いていません。
この記者は最近、朝日新聞の生活欄などで、精神医療などに関する記事をずいぶん書いていて、精神科医などにインタビューをしていますが、そういった記事も、そもそもこの人 がなにかをきちんとわかっているのか、と疑いたくなるようなものです。そしてこの記事も、大変無責任な記事です。
試しに、二番目に「効果」がある、という、今では内科でもどこでも出てくるあの有名なジェイゾロフトの副作用 についてググってみたら、以下のようなことが書いてありました:
1)まず、「原則禁忌」から「併用注意」までは省略しますが、絶対に投与してはいけない場合があり、そこで具体例が挙げられています。これを見れば、大変怖い薬であることは一目瞭然です。
2)次に、「慎重な投与が必要な者」として、次のようなケースが挙げられています。
メッシュでヘルニア修復後の痛み
・肝機能障害
・自殺念慮または自殺を企画した既往歴ある者
・テンカンなどの既往歴ある者
・出血の危険性がある薬剤を使っている者
・出血性素因がある者
・高齢者
・小児
「うつ状態」になれば、ちょっとは「死にたい」と思うことだってあるものです。だから、うつの人には投与してはいけない、ということですね、これは。ここで突っ込みをいれるとしたら、こういうことでしょうか:
「抗うつ剤」なのに、「自殺念慮」を持つことがよくあるうつの人に投与できない・・・・・・ってこの薬なんですか?
さて、次は副作用ですが、これは以下のようにえらいことになっています(詳しくは、リンクを見てください)。岡崎記者は、「効き目」と「副作用」のバランスから見れば、「使いやすさ」で上位にはいる、という医師たちの見解を鵜呑みにしていますが、こんなにいっぱい副作用があって、どこが「使いやす」いのでしょうか。
ジェイゾロフトの副作用:
●悪性症候群:無動緘黙、血圧の変動、頻脈、嚥下困難、強度の筋強剛、発汗、血清CK値上昇、白血球数増異常感
●アナフィラキシー様症状(投薬を中止、措置が必要):呼吸困難、喘鳴、血管浮腫
●うつ病→必要に応じ減量・中止。
●易刺激性→必要に応じ減量・中止。
●過敏症(→必要に応じ減量・中止):発疹、かゆみ、ジンマシン、顔面浮腫、眼窩周囲の浮腫、光過敏症
●肝機能障害→中止し処置必要
●関節痛
●記憶障害・・・・・→必要に応じ減量・中止。
●気管支ケイレン
●胸痛
●胸部圧迫感
●筋強剛
●筋緊張が異常(筋硬直・筋の緊張亢進・筋ケイレン)
●ケイレン・・・・→中止し処置必要
●白血球数増加→必要に応じ減量・中止
●白血球数減少→必要に応じ減量・中止
●血小板数減少→必要に応じ減量・中止
●血小板機能異常→必要に応じ減量・中止
●単球増加→必要に応じ減量・中止
●出血傾向→必要に応じ減量・中止
●紫斑白血球数増加→必要に応じ減量・中止
●血圧が変動する
●月経障害
●下痢
●幻覚・・・・・→必要に応じ減量・中止。
●倦怠感
●高血圧
●攻撃的になる・・・・・→必要に応じ減量・中止。
●興奮
●甲状腺機能低下症
●高プロラクチン血症
●抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)・→中止し処置必要
まだまだありますが省略。
まともな人なら、こんなもの投与されたくもないでしょう。私も、ある人から、ジェイゾロフトを飲んでいて、常識では考えられないような記憶の飛び方があったので、すぐに飲むのをやめた、という話を聞いたことがあります。当然、やめたら治ったそうですが。
世界の12人の医者、そしてその見解を批判もせずそのまま出してしまう岡崎明子記者の責任は重たいでしょう。
「使いやすさ」が本当にあるのか、「効き目」があるのか、そんなこと知りたかったら、自分たちで実際に飲んでみてから言うべきです。
ここで提案します。
名古屋市立大学の古川教授、そして岡崎明子記者は、すぐにジェイゾロフトを自分で8週間飲み続けて「効き目」を公表してください。お願いします。
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